医療費が高額になった場合でも、1か月あたりの自己負担額には上限が設けられています。その上限を超えた分が払い戻される仕組みが「高額療養費制度」です。
病気や怪我をした際に健康保険で原則として3割(小学生から70歳未満)の自己負担額を支払っていますが、高額になれば自己負担も大きくなります。申請をすることで負担した医療費の一部が払い戻されます。
高額療養費制度とは|知っておきたい計算方法と申請の流れ
高額療養費制度は、1か月の自己負担額が上限を超えた場合に超過分が払い戻される制度です。なお、事前に限度額適用認定証を提示すれば、窓口での支払いを上限までに抑えることも可能です。
高額療養費制度の対象は「保険診療の自己負担分」です。差額ベッド代・食事代・居住費・先進医療・保険外診療(自由診療)は対象外になります。
医療費の自己負担限度額|年齢・所得別の目安
自己負担限度額は加入者の年齢や所得区分によって異なり、例えば標準報酬月額や課税所得に応じて以下のような区分で決まっています。
例えば、69歳以下の一般的な所得区分(年収約370万〜770万円)の場合、80,100円+(医療費−267,000円)×1% が自己負担限度額となります。※2026年2月現在(今後見直される可能性があります)
同一月内に複数の医療機関や科目(内科・外科・歯科など)で受診した場合でも、原則として合算して高額療養費の対象になります。月をまたぐと別計算になる場合があるため注意が必要です。
同一月内であれば、年齢にかかわらず複数の医療機関や診療科の自己負担額を合算できます。
また、払い戻しの上限額については一律金額ではなく加入者が70歳以上であるか70歳未満であるのか、また加入者の所得水準によっても上限が異なりますので確認してみましょう。
重要なポイントです。例えば、月初めに入院して月内に退院できれば自己限度額1回支払うのですが、月の中旬や月末近くに入院して退院が翌月になると2回の自己負担額を支払わなければなりません。
世帯合算・多数回利用で自己負担を軽減する方法
同一世帯で複数の加入者が高額療養費対象となった場合は、世帯合算ができます。また、1年間に複数回高額療養費を利用した場合、多数回該当として自己負担限度額が下がる制度もあります。
70歳未満の医療費自己負担上限と高額療養費の目安
※以下の限度額は2026年時点の公的健康保険制度にもとづく標準的な例です。
所得区分や加入保険によって金額は異なります。また、今後制度改正により金額が変更される可能性があります。
| 所得区分 | 月の上限額(世帯ごと) |
|---|---|
| 年収約1,160万円~の方 健保:標準報酬月額83万円以上 国保:年間所得901万円超 | 252,600円+(医療費-842,000円)×1% |
| 年収約770~約1,160万円の方 健保:標準報酬月額53万円~79万円 国保:年間所得600万円~901万円 | 167,400円+(医療費-558,000円)×1% |
| 年収約370~約770万円の方 健保:標準報酬月額28万円~50万円 国保:年間所得210万円~600万円 | 80,100円+(医療費-267,000円)×1% |
| 年収156~年収約370万円の方 健保:標準報酬月額26万円以下 国保:年間所得210万円以下 | 57,600円 |
| 住民税非課税の方 | 35,400円 |
70歳以上の高額療養費制度|外来・入院の上限額
| 所得区分 | 月の上限額(世帯ごと) | 外来(個人ごと) |
|---|---|---|
| 年収約1,160万円~の方 標準報酬月額83万円以上 課税所得690万円以上 | 252,600円+(医療費-842,000円)×1% | 世帯上限と同額 |
| 年収約770~約1,160万円の方 標準報酬月額53万円~79万円 課税所得380万円~690万円 | 167,400円+(医療費-558,000円)×1% | 世帯上限と同額 |
| 年収約370~約770万円の方 標準報酬月額28万円~50万円 課税所得145万円~380万円 | 80,100円+(医療費-267,000円)×1% | 世帯上限と同額 |
| 年収156~年収約370万円の方 標準報酬月額26万円以下 課税所得145万円以下 | 57,600円 | 18,000円 ※年144,000円 |
| 住民税非課税の方 | 24,600円 | 8,000円 |
| 住民税非課税の方 ※年金収入80万円以下 | 15,000円 | 8,000円 |
高額療養費制度の対象者
高額療養費制度は、公的医療保険に加入している全ての人が申請の対象になります。公的医療保険とは、健康保険組合、協会けんぽなどの医療保険のことを指し、日本では原則としてすべての国民が公的医療保険に加入しています。
申請の際、加入者が世帯分をまとめて請求することができますが、夫婦で別の会社で共働きをしていて別々の医療保険に加入している場合は、一緒に住んでいる場合でも合算することができません。
また、75歳以上の後期高齢者が同世帯である場合においては「後期高齢者医療制度」が適用されるため、合算の対象外となります。尚、住所が別々であっても同じ医療保険に加入している場合は合算が可能となります。
高額療養費制度の申請方法と払い戻しの流れ
手続きをする場合には、自身が加入している医療保険に問い合わせをして高額療養費制度の支給申請書を請求しましょう。申請の際には医療機関の領収書の提出を求められる場合や、高額療養費制度の対象となる場合には通知をくれる組合等があり様々です。
念のため、医療機関で受け取った領収書はきちんと保管しておきましょう。尚、払い戻しまでには診療から約3か月以上という期間がかかる場合があります。
限度額適用認定証で立て替えの必要はない
高額な医療費があとで戻ってくるとはいえ、一時的に支払うのが厳しいという方も少なくありません。
そこであらかじめ高額になると予測できる場合には、役所などに「限度額適用認定証」を申請しては交付してもらいましょう。※70~74歳以上で課税所得が145万未満、75歳以上で住民税課税ありの方は申請が必要ありません。
入院時に病院窓口に「限度額適用認定証」を提出しておくことで、退院時に相殺してくれるので一時的に医療費を立て替える必要がないので助かります。※多くの方がこちらを利用しています。



